進化する検査技術をどのように取り入れるか
がんの検診技術は進化を続けており、尿や血液を用いた新しい検査方法が次々と登場しています。しかし、これらの新技術の導入には慎重な姿勢が必要です。がん検査技術の現状と課題、そして従来の検査方法の有効性について私の考えを述べていきます。
血液・尿検査の不確実性
血液や尿を用いた新しいがん検査技術が注目を集めていますが、その精度には疑問が残ります。例えば、「血液1滴で13種類のがんを99%の精度で検出できる」という宣伝は、小規模な患者グループでの検証結果に基づいており、一般人口での有効性は不明確です。
新技術導入の裏側
新技術の開発には多額の投資が行われており、資金回収のためにセンセーショナルなPRが展開されることがあります。また、著名な研究者の関与により、医療機関が導入を断りにくい状況も生まれています。
PET検査の長年の実績
1994年に日本で初めて会員制検診のハイメディック山中湖がPET検査を導入して以来、その高い精度が証明されてきました。PET検査を導入した当初は、「PET検査はいずれ廃れる」という声も聞かれました。しかし、非常に高い精度でがんを検知するため、今日では、多くの医療機関でPET検査が採用されています。昔から実施されている検査技術が、必ずしも時代遅れとは限りません。
技術の継続的な改良
また、私たちは、PET検査における長年の実績だけに満足せず、PETとMRIが一体化した、PET/MRI※1を導入するなど、常に検査技術をアップデートしています。これにより、伝統的な手法の信頼性を保ちつつ、先進的なの医療技術を提供できるのです。
※1 PETとMRIが一体化した高精度な画像診断装置
慎重な評価と導入
新技術の導入には、検査の精度、信頼性、有用性を包括的に検証することが重要です。センセーショナルな宣伝に惑わされず、科学的な評価を行う必要があります。伝統的で信頼性の高い医療技術を尊重しつつ、時代に即したイノベーションを行うことが、お客様の信頼を得る最善の方法です。PET検査のような確立された技術を基盤としながら、新しい技術を適切に評価し、組み合わせていくことで、より効果的ながん検診が可能になっていくでしょう。
※メッセージ内容は、2025年2月時点のものです