認知症に希望の光プラズマローゲン
研究発表
第21回日本抗加齢医学会総会にて、「介護施設入居者に対するプラズマローゲン顆粒の認知症状の改善効果」に関する研究結果を発表
介護施設入居者に対する認知症状の改善効果(プラズマローゲン)
去る6月27日(日)に京都で開催された「第21回日本抗加齢医学会総会」にて、グランドハイメディク倶楽部の検診委託施設でもある東京ミッドタウンクリニック院長 田口淳一医師により「老人介護施設入居者に対するプラズマローゲン顆粒の認知症状の改善効果」の研究結果が発表されました。
(はじめに)「プラズマローゲン」の働きについて
まずプラズマローゲンについてこれまでに発表されている研究結果を中心に、様々な研究から分かっている事柄をご紹介します。
・希少成分「プラズマローゲン」で認知症に挑む
厚生労働省の統計によれば、日本における65歳以上の認知症の数は約600万人(2020年現在)と推計され、その数は増加の一途をたどり2025年には約700万人(高齢者の約4人に1人)もの人が認知症に罹患すると予測されています。メディカル事業やシニア事業の運営を通じ、人々の生涯にわたる健康サポートを目指すリゾートトラストグループでは、この認知症に有用な成分として「プラズマローゲン」に注目。研究の第一人者である九州大学名誉教授 藤野武彦博士らのグループによる研究事業を支援すると共に、その成果を踏まえ、さらなる研究を進めています。
・認知症の患者ではプラズマローゲンが低下
プラズマローゲンはリン脂質の一種でEPAやDHAなどと結合し、その多くは神経系・免疫系・循環器系など、人の体の中でも重要な役割を持つ器官に存在しています。特に成人の脳の白質や灰白質では、リン脂質の50%以上がプラズマローゲンです。(BBA1822(2012) 1442-1452)。1995年にはアメリカのチームが解剖によってアルツハイマー病患者の脳でプラズマローゲンが減少していることを発見。その後、カナダや九州大学の藤野武彦医師のチームがアルツハイマー病患者の血中でも減少していることを確認しました。また、高齢世代では若い世代に比べて血中のプラズマローゲンが約40%減少していることも確認されています(J Atheroscler Thromb. 2007;14:12-18)
・プラズマローゲンは認知症の原因「アミロイドβ」の沈着を抑制
認知症の中で最も多いのがアルツハイマー型認知症で、脳のゴミともいえる「アミロイドβ」タンパク質の蓄積が、そのアルツハイマー型認知症の発症に起因しているとされています。蓄積されたアミロイドβタンパク質は神経細胞の炎症を引き起こし、やがては脳細胞を死滅に追いこみます。プラズマローゲンは脳内の神経細胞の炎症を抑えると共に、アミロイドβタンパク質の蓄積を減らす効果が確認され、アルツハイマー型認知症の予防や治療応用への可能性が報告されています(Journal of Neuroinflammation 2012, 9:197)。また、人への臨床試験で、軽度〜中程度のアルツハイマー型認知症について症状改善効果を示すことが確認されています。
プラズマローゲンのアミロイドβ蓄積予防についての研究発表はこちらから
~学会発表~ 超高齢者らを対象にプラズマローゲン顆粒を用いて臨床試験
これまでの臨床試験は、カプセル型のサプリメントを服用できる80歳代以下の軽・中程度の認知症の患者が中心でしたが、今回、嚥下困難なためにカプセルの服用ができない90歳代の超高齢者と80歳代の高齢者に対し、プラズマローゲン顆粒の有用性を検証する臨床試験を行いました。
● 期間: 2020 年 10 月~2021 年 5 月
● 対象: 介護付き有料老人ホームの入居者 21 名※1(61 歳-97 歳 平均 86.9 歳、男性 8 名、女性 13 名。/ MMSE※2スコア 20.5 点以上)を対象
※1 リゾートトラストグループのシニアレジデンス「トラストガーデン」7施設にて試験の目的・内容を理解し参加に同意を得た方。
※2 MMSEとは/ Mini-Mental State Examination:ミニメンタルステート検査の略。時間の見当識、場所の見当識などの計11項目の質問票から構成される30点満点の認知機能検査。スコア21点以下で認知症疑いとされ、26点以下で軽度認知障害(MCI)が疑われる。
▶プラズマローゲンかプラセボか、分からないよう実施
対象者をA群とB群に分けた上で、先入観等を持たないよう、同じように包装されたプラズマローゲン顆粒とプラセボの難消化デキストリン顆粒をそれぞれ1日1回摂取。最初の12週間はA群にプラズマローゲン顆粒を、B群には難消化デキストリン顆粒を。そこから2週間あけ、2回目はA群に難消化デキストリン顆粒を、B群にはプラズマローゲン顆粒を服用する「ランダム化クロスオーバーシングルブラインド比較試験」を実施しました。
▶4つの評価方法で複合的に効果検証
確実性と信頼性をより高めるため、対象者の協力のもと、次の4つの評価方法を組み合わせて検証を行いました。
1. 「のうKNOW TM 」(エーザイ株式会社)を用い、ブレインパフォーマンスチェックを4 週間ごとに実施。のう KNOWは「Cogstate Brief Battery」に基づき、パソコンなどを使って「記憶する」「考える」「判断する」などの脳のパフォーマンス(脳の健康度)をチェックできるソフトツールです。本臨床試験ではブレインパフォーマンスの評価を以下の2項目に分けて調査しています。
集中力 ①脳の反応速度、②注意力 から算出
記憶力 ③視覚学習、④直前(短期)記憶から算出
(A)20.0~50.0 点 (B)15.0~19.9 点 (C)0~14.9 点
2. MMSE(Mini Mental State Examination)※2による認知症スクリーニング検査を計 3 回実施。
判定:(正常)27~30 点 (軽度認知障の疑い/MCI)22~26 点 (認知症の疑い)21 点以下
3. 睡眠の質を世界保健機関で作成された世界基準である「アテネ不眠尺度」の質問票を用いて 4 週間ごとに調査。
判定:(正常睡眠)1~3 点 (不眠症の疑い)4~5 点 (不眠症)6 点以上
4. フェイススケール フェイスケールによる気分の変化を4週間ごとに調査。
判定:(満足)1 (やや満足)2 (普通)3 (どちらともいえない)4 (やや不満)5
「集中力」「直前(短期)記憶」向上の効果を確認
今回の臨床研究では、90歳以上の超高齢者であっても「プラズマローゲン」顆粒の服用により、評価方法1の「ブレインパフォーマンス(脳の健康度)」の「集中力:①脳の反応速度 ②注意力」および「記憶力:④直前(短期)記憶」の有意な向上が認められました。
介護現場において期待される「プラズマローゲン」
今回の臨床試験では、対象者の平均年齢が86.9歳と超高齢者が多く、上記以外の項目ではプラズマローゲン服用群に有意な向上は認められませんでしたが、今後は症例数を増やして70歳台グループに対して試験を行い、早期の軽度認知障害(MCI)などに対する効果を検討する予定です。
超高齢者を対象とした臨床試験の報告が少ない中、今回の臨床研究を通じ「プラズマローゲン」 顆粒は介護施設の現場においても有用な認知症介入手段になり得るとの結果が示されました。
本研究発表への質疑応答では、座長を務める平野滋医師より「有用性が明確に示されており、効果の高さを考えれば認知症の治療薬になり得るのではないか」という趣旨の質問がされました。それに対し田口医師が「治療薬になり得るかについてはさらなる研究が必要」「認知症の原因物質であるアミロイドβの蓄積は発症の20年以上前から始まっているとされるため、40代などの若いうちから認知症の発症予防として摂取することが勧められる」と答えるなど、さらなる臨床試験の成果が期待される研究発表となりました。
のうKNOW(エーザイ株式会社): パソコン、タブレット、スマートフォン上で、トランプカードを使用し、「脳の反応速度」「記憶力」「視覚学習」「記憶」の4つの項目から脳の健康度をチェックするツール。(「のうKNOW 」Web サイト:https://nouknow.jp/)※のうKNOWは医療機器ではありません
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