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研究発表

研究発表


第51回日本総合健診医学会において、ーフェムテック到来により期待される女性検診のパラダイムシフトと展望ーについて発表がありました。

次世代女性医療のパラダイムシフト〜多様性と可能性を求めて〜

冒頭座長の石垣洋子医師(医療法人社団進興会せんだい総合健診クリニック 院長)からこのシンポジウムを開催したいと思われた背景についてお話がありました。
石垣医師は、2004年に女性検診に特化した健診をクリニックで開始。日本はこの頃より性差医学の概念が導入されてきたといいます。性差医療概念を日本にまず紹介していただいたのが天野恵子先生(一般財団法人 野中東晧会 静風荘病院 顧問)。
総合健診医学という私たちが日々向き合っている医学は、性差医学、医療のクロストークの必要性を感じ毎日診療を続けていますが、なかなか性差医学、医療に落とし込めていないことが現状だと述べておられました。
吉形医師からは、当院(浜松町ハマサイトクリニック)で実施している女性のライフステージに合わせた独自の女性むけ健診を紹介。外来と健診の両方を行っている側面からみえる女性検診への取り組みについて発表がありました。

女性のライフステージと気を付けたい疾患

性成熟期までは婦人科特有の疾患が多く、中高年以降になると生活の質にかかわる疾患が多くなります。生活習慣病や泌尿器問題、がんですと子宮体がん、卵巣がん。がんになりやすい臓器もかわってきます。しかし、一般的な企業・自治体の婦人科検診でカバーされるのは子宮頸がんと乳がんに限られています。女性が世代別に受ける検診はどんなものかと考えた時に、当院では世代別婦人科ドックを行なっています。更年期世代、更年期症状が気になる方は更年期診断パックとして、10項目の症状アンケート、エクオール産生能検査、動脈硬化検査(血管年齢)骨密度検査を合わせた検査を実施しています。

引用:吉形玲美 日本総合健診医学会第51回大会発表スライドより抜粋

浜松町ハマサイトクリニック

女性ホルモンの変化に対応したトータルに考える健康管理
婦人科疾患対策
・子宮頸がん、乳がん検診
・月経症状アセスメント
生活習慣病
・骨粗鬆症&動脈硬化の予防と早期対策
更年期障害
・症状アセスメント
・個々にあった予防と早期対策についてのフィードバック

思春期~性成熟期は、月経症状と婦人科疾患の有無を把握し、更年期からは更年期症状や生活習慣病を含めトータルにケアしていくことがQOLの向上・well-agingへ

フェムテックが女性の健康長寿に与える影響

女性は男性よりも寿命が長い反面、うつ病などのメンタルヘルスに対する障害を受けやすく、健康寿命に影響を及ぼします。さらに女性は生殖の年齢は男性よりもはるかに短く、生まれながらに卵子の数が決まっています。そのため、リプロダクティブヘルス(性と生殖に関する健康)は性差に加えて、世代差別(男性よりも生殖年齢が限られた世代であること)も考慮されるべきと考えます。女性の健康長寿、メンタルヘルスに与える影響が大きいからです。

実用化されている世代別フェムテック

思春期から性成熟期では、月経関連の衛生用品やサプリ、ホルモンバランスのチェック、妊活関連検査など。そして更年期以降になると、更年期障害対応やメンタルヘルス対応が、女性の健康寿命に強く寄与するカテゴリーになります。フェムテックというとフェムゾーンケアが注目されがちですが、GSM(閉経後泌尿生殖器症候群)は、広く対応が必要であり注目されています。


女性は生物学的因子だけでなく、環境因子が健康長寿へ強い影響を及ぼします。世界のフェムテックのトレンドから、女性の健康寿命に影響するカテゴリーとして注目されているのが「メノポーズケア」と「メンタルヘルスケア」です。フェムテックを活用しこの2つのケアを行うことが女性の健康長寿にとって重要です。

メノポーズケア
∟更年期障害、骨粗しょう症、生活習慣病、GSM(閉経後泌尿生殖器症候群)など
メンタルヘルスケア
∟妊産婦ケア、PMS(月経前症候群)、不安症状、不眠症状など

【自験例】① 健診受診者のエクオール産生能結果

婦人科検診に活用できるフェムテックとして、吉形医師はセルフケアアセスメント検査の一例にエクオール産生能検査および、フェムケアプロダクトによるGMS改善効果の自験例について報告されました。

【自験例】① 健診受診者のエクオール産生能結果
エクオールは、女性ホルモン様作用を有し、ERβ(エストロゲンレセプターβ)に優位に作用することが知られています。閉経期から閉経後早期のエストロゲン減少世代において、体脂肪、内臓脂肪面積の減少、骨吸収の抑制、抗動脈硬化作用があり、エクオール産生能と各種生活習慣病リスク軽減との関連が分かっています。
Yoshikata R, et al. Menopause. 2017

2020年6月~11月、健診受診者のエクオール産生能検査結果
全体の約70%がエクオールを産生できない体質で、理想的な産生者はわずか7%という結果でした。検診受診者は周閉経期、閉経後が66%を占め、とくにこの世代の方にはエクオール産生能が高まる食生活、生活習慣を案内しています。

【自験例】②ラクトバチルス乳酸菌配合プロダクトによるGSM改善効果

フェムケアプロダクトには、フェムゾーン専用ケア商品や高機能アンダーウエア(吸水ショーツなど)があります。当学会で吉形医師は、ライクトバチルス乳酸菌を配合した商品を使用したフェムゾーンをケアしたモニター調査の結果を発表しました。

ラクトバチルス乳酸菌を配合した商品を用いたフェムゾーンケア。使用期間は1ヶ月間、洗う、保湿、腟内保湿を行うことで、腟内の病原菌が減少。とくに閉経後の方で有意な減少がみられました。また、過活動膀胱症状質問票(OABSS)スコアについてもフェムゾーンケアを実施することで有意なスコア改善がみられました。
最後に海外の事例を紹介。 更年期診療の前にオンラインアセスメントで、ミドルエイジ以降を4つのライフステージ(閉経前、周閉経期、閉経、閉経後)に分けてアセスメント。そのようなオンライン診療やライフスタイルの提案が日本でも広まればと思います。 *スライドの無断転用はご遠慮ください。

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