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研究発表

研究発表


第21回日本抗加齢医学会総会にて、「腟マイクロバイオームのエイジングによる変化と 乳酸菌含有素材のデリケートゾーンケアによる改善効果の検討」を発表

注目の集まるデリケートゾーンケア

不快な症状を抱えながらも、人に相談がしにくいデリケートゾーンの悩み。
吉形玲美医師は、産婦人科診療を通して直面する女性のヘルスケア問題を医学的な立場から研究し発表を行っています。去る2021年6月25日、国立京都国際会館で開催された「第21回日本抗加齢医学会総会」にて、吉形医師による研究「腟マイクロバイオームのエイジングによる変化と乳酸菌含有素材のデリケートゾーンケアによる改善効果の検討」の発表講演が行われました。本研究は、適切なデリケートゾーンケアが腟内フローラに好影響を与えることを示唆する画期的なものです。

第21回日本抗加齢医学会総会にて
吉形玲美医師(浜松町ハマサイトクリニック、東京ミッドタウンクリニック)

理想的な腟内フローラとは

・乳酸菌ラクトバチルス属主体
理想的な腟内フローラは、ラクトバチルス属を主体とした乳酸菌が豊富であることはわかっており、ラクトバチルス属の中のタイプは人種によって異なることも知られています。今回、未閉経および閉経後の日本人女性の腟内フローラについて、ラクトバチルス属がどのようなパターンになっているのかを解析し、乳酸菌含有のデリケートゾーンケア商品による影響について考察しました。

・年齢と共に変化する腟粘膜のエイジング
腟の粘膜も皮膚と同じで新陳代謝を繰り返しており、新陳代謝により腟粘膜の上皮細胞が剥がれ落ちると、そこに含まれるグリコーゲンが乳酸へと変化し腟内が酸性になります。これにより外界から細菌が入ってきて、繁殖することを防ぎ腟内の自浄作用が保たれています。
年齢とともに女性ホルモンが減少することでこの腟粘膜のグリコーゲンが減り、酸性が保てなくなり、腟内で感染や炎症が起きやすい状態に変化します。(下図)

引用:吉形玲美 第21回日本抗加齢医学会総会発表スライドより抜粋

未閉経と閉経群で腟内フローラの違いとデリケートゾーンケア商品による改善効果

本研究では、未閉経と閉経後で腟内フローラの状態にどのような違いがあるか調べ、加えて乳酸菌含有デリケートゾーン専用商品の使用でどのような変化があるかを研究しました。

【研究の概要】
■研究期間 2020 年 8 月~11 月上旬
■研究内容 健常女性 21 名(33-76 歳:平均 49.8±13.9 歳)を対象に、乳酸菌含有デリケートゾーン専用商品(下記①+②) 8 週間連続使用

<使用商品および使用方法>
① 乳酸菌配合デリケートゾーン洗浄料 (泡状フォーム:入浴時 1 回あたり 2 プッシュ使用)
② 乳酸菌配合ソフトジェルクリーム (ジェル状クリーム:入浴後 1 回 2 ㎝径使用、大陰唇を中心に塗布)

使用前/後の腟内ぬぐい液を採取し、次世代シーケンサーにより腟マイクロバイオームを解析。
*未閉経女性については月経終了後 1 週間以内(卵胞期採取)

■検証内容 閉経前と閉経後で腟マイクロバイオームにどのような違いがあるか、加えて乳酸菌含有デリケートゾーン専用商品の使用でどのような変化があるかを検討。

閉経群では腟内環境は多様性グループが主体

未閉経群では約半数がラクトバチルス属主体で、多様性グループでは主にGardnerella、Prevotellaの2種類を認めました。閉経後はラクトバチルス属主体の例は認められず、主たる菌は化膿性嫌気性菌などの細菌性腟炎や尿路系感染の起因菌が複数認められました。(右図)

引用:吉形玲美 第21回日本抗加齢医学会総会発表スライドより抜粋

・乳酸菌含有デリケートゾーン専用商品でのケアにより、かゆみ、におい、頻尿等の症状改善を認め、腟内フローラにおいては特に閉経後例で細菌の多様性指数の低下(改善)が複数認められました。(下グラフ)

引用:吉形玲美 第21回日本抗加齢医学会総会発表スライドより抜粋

すべての世代に必要なデリケートゾーンケア

腟内フローラの主成分分析では、ラクトバチルス主体(CSTⅠ、Ⅱ、Ⅲ)と多様性主体(CSTⅣ)の2つのクラスターに分けれ、多様性の低い閉経群例はラクトバチルス属主体のクラスターと近似していました。一方、多様性主体(CSTⅣ)クラスターで複数の婦人科疾患既往(子宮頸部異形成、不妊症など)を認めました。
乳酸菌含有のデリケートゾーン専用洗浄料・クリームの連続使用(観察期間8週間)により、かゆみ、におい、頻尿の症状改善をみとめ、腟内フローラ多様性指数は閉経群では低下例が多い結果となりました。

乳酸菌含有のデリケートゾーンケア専用商品のケアは、腟内フローラの改善に有用である可能性が示され、今後は幅広い年代の疾患予防、QOL向上への活用も期待されます。なお、今回の研究発表内容は、第2回GSM研究会(2020年11月23日)でも発表されています。

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